労務

連勤は何日まで組んでいいのか

「6連勤は違法ですか」と聞かれて、はっきり答えられるでしょうか。法律の答えと、現場が決めるべき答えは別物です。4つの層に分けて整理します。

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「6連勤って違法じゃないんですか」

職員からこう聞かれて、はっきり答えられるでしょうか。答えにくいのには理由があります。

この記事の結論

「連勤は◯日まで」という法律上の上限は、2026年8月時点では存在しません。労働基準法が定めているのは休日の与え方であって、連勤日数そのものではないからです。

答えは法令・提言・職能団体の基準・自施設の裁量という4つの層に分かれています。どの層の話をしているかを分けると、「うちは何日で切るか」を決められるようになります。

法律が決めているのは、休日の数え方

労働基準法35条は、休日についてこう決めています。

  • 毎週少なくとも1回の休日を与える
  • または、4週間を通じて4日以上の休日を与える(変形休日制)

ここで効いてくるのが2つめです。4週で4日というのは、いつ与えるかを決めていません

だから、4週間の最初に4日まとめて休ませて、そのあと24日連続で勤務させる、という組み方も条文の上では成立します。厚生労働省の研究会報告書にも、はっきりこう書かれています。

付与する法定休日を偏らせ、長期間の連続勤務が生じる場合であっても、そのことをもって労働基準法違反となるわけではない

労働基準関係法制研究会報告書、令和7年1月)

つまり、6連勤も10連勤も、それ自体では法律違反になりません。職員に「違法ではありません」と答えるのは、事実としては正しいのです。

ただ、それで納得してもらえるかは別の話です。

「13日を超える連勤を禁止すべき」という提言はある

同じ報告書は、この状態を問題として扱っています。

労災保険の精神障害の認定基準では、2週間以上にわたって休日のない連続勤務が、心理的負荷となる出来事のひとつとして示されています。実際にそれで労災の支給決定が出た事案もある、と報告書は述べています。

そのうえで、こう提言しています。

2週間以上の連続勤務を防ぐという観点から、「13 日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を労働基準法上に設けるべきであると考えられる

報告書には、現行制度の理論値も脚注で添えられています。

理論上、休日労働の扱いをせずに最大 48 連勤が可能

48連勤というのは、もちろん実務の話ではありません。制度に上限が書かれていないとどこまで伸びうるかを示した数字です。

ここで大事なことをひとつ。この13日の提言は、2026年8月時点で法制化されていません。 関連する法案の提出は見送られており、現時点では「そういう提言がある」という段階です。「2026年から13連勤は違法」と説明すると誤りになります。

看護には、職能団体が示している基準がある

法令とは別に、日本看護協会が「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」で11項目の勤務編成基準を出しています。連勤に関わるのはこの2つです。

基準5 連続勤務日数 — 連続勤務日数は5日以内とする。

基準4 夜勤の連続回数 — 夜勤の連続回数は、2連続(2回)までとする。

法律が上限を決めていないところに、職能団体が具体的な数字を置いている、という構図です。

ただし、これは推奨であって法令ではありません。守らなかったからといって違法にはなりません。ガイドライン自身も、11項目すべてを一度に満たす必要はなく、各施設で優先順位を決めて可能な範囲で進めるものだと明記しています。

4つの層を分けて考える

ここまでを整理すると、こうなります。

何を言っているか守らないと
労働基準法35条休日の与え方(週1回、または4週4日)違法
研究会の提言(13日)連勤の上限を法律に入れるべきまだ法律ではない
看護協会の基準(5日)連続勤務は5日以内が望ましい違法ではない
自施設の決めここを決めるのが施設の仕事

職員から「6連勤は違法か」と聞かれたときに答えるべきなのは、1段目の話です。でも勤務表を何日で切るかを決めるのは、4段目です。

法律が決めていないから何日でもいい、という話ではありません。決める責任が施設側にある、ということです。

では、自施設は何日で切るか

決めるときの手がかりを3つ挙げます。

労災の認定基準を下回っているか。 2週間以上の休日なし連勤は、心理的負荷として評価される水準です。ここを超える組み方が常態化しているなら、日数の議論より先に人員の議論が要ります。

職能団体の基準との距離を把握しているか。 5日以内が推奨されている中で、自施設が何日で運用しているか。差があること自体は問題ではありませんが、差を知らずに運用しているのは危ういです。

例外をどう扱うか決めているか。 「原則4連勤、月に2回まで5連勤を認める」のように、例外の条件と回数まで決めておかないと、原則は形骸化します。ここは次の記事で詳しく書く予定です。

決めた数字を、勤務表の上でどう守るか

数字を決めたあと、実際に守られるかは別の問題です。

紙やExcelで組んでいると、連勤が何日続いているかは目で数えるしかありません。1人ずつ、31日分を横に追って数える作業です。しかも1マス動かすたびに数え直しになります。

わたしたちが作っている Nafty では、連勤の上限を施設ごとに設定でき、勤務表を組むときの条件として使われます。誰に適用するか(全員/所属グループ/役職/個人)も分けて決められます。

ただし、上限を何日にするかを決めるのは施設です。製品ができるのは、決まった数字を守る側の作業だけです。この記事で4つの層を分けたのは、まさにその「決める」部分が誰の仕事かをはっきりさせるためでした。

まとめ

「連勤は◯日まで」という法律上の上限は、2026年8月時点では存在しません。 労基法35条が決めているのは休日の与え方で、休日を偏らせて長期の連勤が生じても、それ自体では違反になりません。

13日を超える連勤を禁止すべきという提言はありますが、まだ法律ではありません。 説明するときは、この区別を落とさないでください。

看護協会は連続5日以内を推奨しています。 ただし職能団体の基準であって法令ではありません。

そのうえで、自施設が何日で切るかを決めるのは施設の仕事です。法律が決めていないというのは、自由という意味ではなく、決める責任がこちらにあるという意味です。