労務

勤務間インターバル11時間を、勤務表の上でどう点検するか

勤務間インターバルの解説はどれも一般企業向けで、勤務表のどこを見ればいいかが書かれていません。三交代の定番の並びは、実はすでに基準を大きく下回っています。

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勤務間インターバルという言葉は、たいてい制度の話として出てきます。努力義務がどうなった、義務化はいつからか、と。

その話をしている間、勤務表の側では何が起きているでしょうか。

この記事の結論

三交代の日勤 → 深夜勤という定番の並びは、勤務計画表の上ですでに8時間を切っています。制度が11時間を目指している一方で、現場の標準的な組み方がその半分近くだということです。

点検すべき場所は制度の条文ではなく、勤務表の並びそのものにあります。

勤務間インターバルとは、どこからどこまでか

まず定義をはっきりさせます。

勤務間インターバルは、ある勤務が終わってから、次の勤務が始まるまでの時間です。日本看護協会のガイドラインは、この時間を「勤務間隔」と呼び、こう定義しています。

一つの勤務の終了時(時間外勤務が発生する場合は、それを含めた終了時刻)から、次の勤務の開始時までの間の時間

大事なのは括弧の中です。残業した分だけ、勤務間隔は短くなります。勤務表の上で17時終わりでも、19時まで残っていれば、その日の勤務間隔は2時間短いことになります。

三交代の定番の並びは、すでに8時間を切っている

ガイドラインには、病院勤務看護師の事例としてこう書かれています。

[日勤]→[深夜勤]や[準夜勤]→[日勤]の勤務計画表上の勤務間隔が8時間にも満たない勤務編成が多く見られます

挙げられている事例では、日勤が8時30分〜17時00分で、深夜勤の開始までの間隔が約7.5時間です。

ここに、さらに現実が加わります。

その短い時間の中に時間外勤務や通勤時間が加わり、実質的な勤務間隔はより短くなることも珍しくない

7.5時間のうち、往復の通勤に1時間半、残業に30分使えば、家にいられるのは5時間台です。そこから食事と入浴を引くと、睡眠に回せる時間がどれだけ残るか。

この数字はガイドラインが示している事例であって、全国の平均ではありません。ただ、自施設の勤務表にこの並びがあるかどうかは、すぐ確認できます。

制度は、いまどこにあるか

ここで制度の話を挟みます。2026年8月時点の状況です。

勤務間インターバル制度は、労働時間等設定改善法の努力義務です。義務ではありません。厚生労働省の研究会報告書ではより踏み込んだ議論もされていますが、関連する法案の提出は見送られており、義務化はされていません

「2026年から11時間が義務」という説明を見かけたら、それは誤りです。

一方で、努力義務だから関係ないという話でもありません。日本看護協会は「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」で、勤務編成の基準11項目の筆頭にこれを置いています。

基準1 勤務間隔 — 勤務と勤務の間隔は11時間以上あける。

基準2 勤務の拘束時間 — 勤務の拘束時間は13時間以内とする。

法令が動く前に、職能団体はすでに数字を示しているということです。

11項目のうち、勤務表の並びで点検できるもの

ガイドラインの11項目は、勤務表を見れば確認できるものと、そうでないものに分かれます。並びで点検できるのはこの6つです。

基準内容
1勤務と勤務の間隔は11時間以上あける
2勤務の拘束時間は13時間以内とする
4夜勤の連続回数は2連続(2回)までとする
5連続勤務日数は5日以内とする
82回連続夜勤後はおおむね48時間以上、1回でもおおむね24時間以上の休息
9月1回は土日ともに前後に夜勤のない休日をつくる

残る5つ(休憩、仮眠、正循環、早出の時刻、夜勤回数)は、勤務区分の設計や運用側の話になります。

ここでガイドライン自身が明記していることを落とさないでください。

本基準は11項目を挙げていますが、すべての項目を一度に満たさなければならない(ものではない)

各施設で優先順位を決めて、可能な範囲から進めるものとして書かれています。11項目を守れていないから違法、という性質のものではありません。

実際に点検するときの順番

自施設の勤務表を見るとき、この順で当たると効率がいいはずです。

1. 日勤 → 深夜勤の並びが何回あるか数える。 ここがいちばん短い並びなので、まずここです。基準1(11時間)に対してどれだけ足りていないかが分かります。

2. 準夜勤 → 日勤の並びを数える。 同じ理由です。

3. その並びが特定の人に集中していないか見る。 勤務表全体で何回あるかより、1人あたり何回入っているかが効きます。同じ人が月に何度もこの並びに当たっているなら、負荷は数字以上です。

4. 残業の実績と突き合わせる。 勤務表の上で7.5時間なら、残業を足した実質はそれより短いはずです。

勤務表を組むときに、この並びを避けられるか

点検して問題が見つかったとして、次は組む側の話になります。

日勤 → 深夜勤を全部なくせるかというと、たいていは無理です。人数が足りないというより、その並びを禁止すると別のどこかが崩れるからです。夜勤に入れる人が限られている中で並びだけを縛ると、必要人数が埋まらなくなります。

だから実務では「なくす」ではなく「減らす、偏らせない」が現実的な目標になります。

わたしたちが作っている Nafty では、勤務の並びを条件として設定できます。ただし正直に書いておくと、間隔を時間単位で指定することはできません。「11時間空ける」ではなく「夜勤の翌日は休み」のように、日の単位で指定する作りです。

三交代の日勤 → 深夜勤のように、同じ日付の中で完結する短い間隔は、この方式では直接表現できません。ここは製品側の制約です。

まとめ

勤務間インターバルは、2026年8月時点で努力義務です。義務化はされていません。「2026年から11時間必須」は誤りです。

日本看護協会は11時間以上を勤務編成の基準の筆頭に置いています。ただし職能団体の推奨であり、11項目すべてを一度に満たす必要はないとガイドライン自身が明記しています。

そのうえで、三交代の日勤 → 深夜勤という定番の並びは、勤務計画表の上ですでに8時間を切っています。事例では約7.5時間です。

制度の議論を追いかけるより先に、自施設の勤務表にその並びが何回あるかを数えてみてください。制度が動いたときに慌てないための準備としても、そちらのほうが確実です。