シフト自動作成のサービスを2〜3社並べて資料を眺めると、困ったことに気づきます。どれも同じに見えるのです。
「AIで自動作成」「希望休に対応」「大幅な時間削減」。カタログの言葉はほとんど共通で、料金表の形すら似ています。展示会で3〜4社の話を聞いて、結局どこが違うのか分からないまま持ち帰った——という方に、私たちは何人もお会いしてきました。
この記事の結論
機能一覧の比較では、導入後の差はほとんど見えません。効いてくる違いは「うまくいかないとき」と「自施設の複雑さ」の扱い方に出ます。
それを見分けるための質問を7つ用意しました。営業担当にそのまま聞いてください。答えに詰まるか、具体的に答えるかで、中身が分かります。
質問1 「条件を全部満たせないときは、どうなりますか」
いちばん大事な質問なので最初に置きます。
現場の条件は、月によっては全部を同時に満たせません。希望休が重なる、夜勤ができる人が足りない——普通に起きることです。そのときツールの振る舞いは3タイプに分かれます。
- 一枚も出てこない(「解なし」で終わる)
- 何かしらの表が出てくるが、どの条件を破ったかは自分で探す
- どの条件同士が衝突しているかを示したうえで、表も出す
必須条件が両立しないときは、勤務表を出さずに止めることも必要です。条件を緩めて案を出す場合は、どの条件を満たしていないかを確認できることが重要です。「衝突箇所を教えてくれますか」と聞いて、画面で見せてもらってください。
質問2 「再計算で結果が変わったとき、条件と履歴を確認できますか」
勤務表には複数の有効な組み方があり、同じ条件でも探索時間や計算の進め方によって異なる案になる場合があります。完全に同じ表が出るかだけでなく、どの条件で作った案か、固定した勤務が維持されたか、未達がないかを確認してください。
比較時には、自施設と同じ条件で再計算し、結果の違いを担当者が説明できるか、変更履歴を見返せるかを確認すると実務に役立ちます。
質問3 「『必ず守る』と『できれば守る』を分けて設定できますか」
全員の希望を100%通すと、たいてい表は成立しません。現場の担当者が毎月やっているのは「誰の希望をどこまで通すか」という妥協の判断です。
この判断をツール側に持たせられるか——つまり、労基に関わる条件は絶対に守り、希望休はできるだけ叶える、という強弱をつけた設定ができるかを聞いてください。全条件を同列に扱う道具は、質問1の「解なし」に頻繁にぶつかります。
質問4 「ユニットやフロアをまたぐ勤務は、1回の計算で決まりますか」
ユニット型の施設や、フロア・病棟で分かれた現場では、ここが毎月の手間の正体です。
多くのツールは、シフトの自動作成をグループ(ユニット・チーム・事業所)単位で行う設計です。その場合、ユニットをまたぐ応援や、複数ユニットで共有する夜勤は計算の外に残り、これまでどおり担当者どうしの調整になります。
「またぐ勤務も計算に入りますか、それともグループごとに別々に計算しますか」と、設計の前提を聞いてください。詳しくは別の記事にまとめています。
質問5 「日中はユニット単位、夜間は建物単位——という必要人数の変わり方を扱えますか」
質問4の具体版です。日中は各ユニットに2人ずつ、夜間は建物全体で夜勤2人——というように、時間帯によって人数を数える単位が変わる施設は多いはずです。
ここが設定できないと、いちばん調整が大変な夜勤の部分が自動化から外れます。自施設の夜勤の回し方をそのまま伝えて、「これは条件として入りますか」と聞くのが確実です。
質問6 「トライアルは、自施設の実データと実条件でできますか」
デモ用の綺麗なデータでスムーズに動くのは当然です。知りたいのは、自分の施設の職員数・勤務区分・ローカルルールを入れたときに何が起きるかです。
- 実データでの試用が契約前にできるか
- 条件の初期設定を誰がやるのか(自分で全部入れるのか、伴走してくれるのか)
- 試用期間中に質問できる窓口があるか
の3点をセットで確認してください。初期設定の重さは、カタログにいちばん書かれていない部分です。
質問7 「作った表の“その後”——行政提出や共有はどうなりますか」
勤務表は作って終わりではありません。様式9のような行政提出物への集計、職員への共有、実績との突き合わせ。ここが手作業のままだと、削減した時間の一部が戻ってきてしまいます。
自施設で毎月「表を作ったあとに」やっている作業を書き出して、それぞれ「これはどうなりますか」と聞いてみてください。
そのまま使えるチェック表
| # | 質問 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 条件を満たせないとき、衝突箇所を示せるか | |||
| 2 | 再計算の条件・固定勤務・変更履歴を確認できるか | |||
| 3 | 「必ず守る」「できれば守る」を分けられるか | |||
| 4 | ユニット・フロアをまたぐ勤務が計算に入るか | |||
| 5 | 時間帯で必要人数の単位が変わる運用を扱えるか | |||
| 6 | 実データ・実条件でトライアルできるか | |||
| 7 | 様式9などの提出・共有まで繋がるか |
Naftyの答えも置いておきます
自社の記事なので、同じ質問への私たちの答えも並べておきます。確かめ方はどれも同じ——トライアルで実物を見てください。
- 条件の未達を確認して調整します。必須条件が両立しない場合や時間内に案が見つからない場合は、勤務表を作れないこともあります
- 計算後の案を担当者が確認・修正し、変更履歴をさかのぼれます。毎回まったく同じ勤務表になることを保証するものではありません
- 条件は「必ず守る」「できれば守る」の2層で、施設ごとに振り分けられます
- ユニット・フロアで分かれたグループも、勤務がつながっている範囲そのままのサイズで1回の計算にまとめられます
- 日中はユニット単位・夜間は建物単位、という条件の書き方に対応しています
- トライアルは実データ・実条件で行い、初期設定は私たちが伴走します
- 様式9の自動作成、スマホアプリでの職員への共有まで含まれています
まとめ
シフト自動作成ツールの差は、カタログの機能一覧ではなく、うまくいかないときの振る舞いと、自施設の複雑さをどこまで計算に入れられるかに出ます。7つの質問はどれも、営業担当への口頭質問とデモ・トライアルでその場で確かめられるものです。